「相続=得」じゃない?手放したくなる不動産のリアル
「実家を相続したけど、遠方で管理できない…」「築年数が古くて売れそうにない」「そもそも誰も住まないのに、固定資産税だけ払ってる」
そんな声をよく耳にします。
かつては“資産”とされていた不動産も、現代では「負動産(ふどうさん)」と呼ばれることも珍しくありません。
特に空き家や老朽化した戸建てなどは、売却もできず、解体や管理にも費用がかかる厄介な存在に変わりつつあります。
本記事では、「相続した不動産を手放したい」と考えている人が損をしないために絶対知っておくべき5つの注意点を、わかりやすく解説します。
これから不動産を手放す方も、「まだ何もしていないけど不安」という方も、ぜひ最後までご覧ください。
注意点①:名義変更(相続登記)をしないと売却できない
相続した不動産を売却するにも、放棄するにも、まず絶対に必要なのが「相続登記(名義変更)」です。
● 2024年4月から「相続登記の義務化」がスタート
これまで相続登記は“任意”でしたが、2024年4月からは義務化され、
相続から3年以内に登記しないと**10万円以下の過料(罰金)**が課される可能性があります。
放置すればするほど、不動産の権利関係が複雑になり、いざ売ろうと思っても動かせなくなります。
● 名義が変わっていないと「売れない」「放棄できない」
たとえば不動産会社に査定を依頼しても、所有者名義が被相続人のままだと、
「売却の意思を示せる人がいない」と判断され、取引すら始められません。
また、放棄を検討している場合も、名義が曖昧なままでは手続きがスムーズに進みません。
● 相続登記の手続きと費用の目安
- 必要書類:戸籍謄本、遺産分割協議書、不動産の登記事項証明書など
- 登録免許税:固定資産税評価額 × 0.4%
- 司法書士への依頼費用:5〜10万円程度が相場
POINT:時間もお金もかかりますが、避けては通れない手続きです。まずは相続登記を済ませましょう。
注意点②:その不動産、本当に売れる?価値ゼロ物件の現実
「とりあえず売ればいいや」と思っていても、相続した不動産が売れない可能性は十分あります。
● 増え続ける“売れない不動産”
特に地方部や山間部など、人口減少が進んでいる地域では、住宅の需要自体がほとんどありません。
その結果、いくら査定しても0円提示や「買取不可」と言われるケースも少なくないのです。
● 売れない物件の特徴
- 接道義務を満たしていない(道路に面していない)
- 再建築不可(建て替えができない)
- 老朽化が激しい・倒壊リスクあり
- 市街化調整区域など法的な制限が多い
- 敷地が狭小、変形地などで活用しづらい
こうした不動産は、解体して更地にしても買い手がつかない可能性もあります。
● 解体や維持管理にも費用がかかる
空き家を解体する場合、木造住宅で100〜200万円程度が相場です。
さらに、空き家のままでも固定資産税・草木の手入れ・近隣クレーム対応などのコストがかかり続けます。
POINT:「とにかく売る」だけではなく、処分・活用・寄付など柔軟に考えることが大切です。
注意点③:相続税や譲渡所得税の負担に要注意
「家を売る=そのまま利益になる」と考えがちですが、実は税金の落とし穴がいくつもあります。
● 相続税は「相続時の評価額」に基づいて課税される
相続税の対象になるのは、相続した全財産の総額です。
不動産の評価は、実勢価格よりも低めになることが多いですが、**土地+建物で数百万円〜**の評価になることも。
基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると課税対象になります。
● 売却時には「譲渡所得税」が発生することも
相続した不動産を売却する際は、「譲渡所得=売却価格−取得費−譲渡費用」に対して税金がかかります。
しかし、親から相続した場合、「取得費が不明」なことが多く、
売却額ほぼすべてが課税対象になるケースも。
● 空き家3000万円控除などの特例を活用する
被相続人が住んでいた家を売却する場合、
一定の条件を満たせば「3,000万円控除」という大きな節税措置があります。
ただし、
- 相続から3年以内
- 解体または耐震リフォーム済
- 他に貸していない など
条件が細かいため、早めの検討が必要です。
POINT:売却益が出るなら、税理士や不動産の専門家に必ず確認を。想定外の税金で損しないために。
注意点④:「放棄」には期限と制限がある
「もういらないから放棄すればいい」と簡単に思っていませんか?
相続放棄には期限とルールがあり、誤解も多いので要注意です。
● 相続放棄は“すべての財産を放棄”すること
相続放棄を選ぶと、対象となる被相続人の財産すべてを放棄することになります。
つまり、預金・株式・車・不動産など全てが対象。
「家だけ放棄して預金はもらう」という都合のよい選択はできません。
● 放棄には「相続開始から3ヶ月以内」の期限
家庭裁判所に相続放棄の申述を行うには、相続の開始を知ってから3ヶ月以内というルールがあります。
また、以下のような行動を取ると「単純承認」と見なされ、放棄できなくなる恐れがあります。
- 固定資産税を支払う
- 荷物を片付ける
- 住居をリフォームする
● 相続後の「寄付」や「引き取り制度」も検討を
放棄が難しい場合でも、
- 自治体による空き家バンク
- 無償譲渡を仲介するNPO
- 隣地の所有者に買い取ってもらう
といった選択肢もあります。
POINT:放棄は「早めの判断」と「明確な意思表示」が肝心。遅れると手遅れになります。
注意点⑤:家族や親族と「揉める」前に情報共有を
相続不動産の問題で最も多いのが、家族間のトラブルです。
とくに複数人で相続した場合、話し合いがうまくいかず、放置されるケースが後を絶ちません。
● 「共有名義」だと単独での売却・処分は不可能
たとえば3人兄弟で実家を相続した場合、共有名義で所有していると、1人の意思では何もできません。
売却・賃貸・放棄のいずれにも、原則として全員の同意が必要になります。
● 話し合いが長引くほど、管理リスク・税負担が大きくなる
誰も決められないまま何年も経過し、放置された空き家が
倒壊・火災・不法侵入などのトラブルを招くことも。
相続人同士で責任の押し付け合いになる前に、
**「誰がどう管理するのか」「処分はどうするか」**を明確にしておくことが大切です。
POINT:早期の話し合いと、司法書士や弁護士など専門家の同席でトラブルを未然に防げます。
【まとめ】相続不動産を手放す前に「損しない判断」を
相続不動産を「手放したい」と考えたとき、実はたくさんの落とし穴があります。
正しい知識を持たずに動くと、損するだけでなく、後々のトラブルに巻き込まれるリスクも。
✅ 知っておきたい5つの注意点まとめ
- 名義変更をしないと売却や放棄ができない
- 売れない不動産も多い。解体や維持費がかさむことも
- 税金の負担が大きくなる可能性がある(相続税・譲渡所得税)
- 相続放棄は「期限・ルール」を守らないと無効に
- 家族や親族とトラブルになる前に話し合いを行うことが重要
✅ 一緒に読みたい
相続した不動産を手放したいと考えている方へ
「何から始めればよいのか分からない…」という方は以下のページからお問合せください。
損をせず、安心して相続不動産を手放せるように、精一杯お手伝いいたします。