【プロ推奨】空き家の害獣侵入を防ぐ最も効果的な方法|費用も解説

目次

はじめに — なぜ空き家は害獣に狙われるのか?

空き家は「人がいない」「管理が行き届かない」「隙間や劣化が放置されやすい」という特徴が重なり、ネズミ、ハクビシン、アライグマ、コウモリ、ノラ猫などさまざまな害獣にとって格好の『住みか』になります。害獣が住み着くと、糞尿による衛生問題、断熱材や配線の破損、家屋の腐食や火災リスクの増大など、放置しておくと被害は拡大します。

この記事では、プロが日常的に行っている「最も効果の高い対策」を中心に、具体的なDIY手順、業者に頼むべきケース、費用の目安、見つけたときの対処法まで、実務的で再現性の高い方法を余すところなく解説します。空き家の所有者、管理代行をしている方、不動産担当者向けの実践ガイドです。

空き家の害獣が侵入する主要ポイント(まずは“どこ”を狙うかを把握する)

害獣は“通り道と隠れ場所”を重視して侵入します。主な侵入ポイントを把握し、優先度をつけて対策を行うことが重要です。

主な侵入ポイント

  • 屋根(軒天・瓦の隙間):瓦のズレ、軒天の腐食は屋根裏への入口になります。コウモリやハクビシン、鳥類がまず狙います。
  • 床下(基礎通気口・配管まわり):ネズミやアライグマは基礎通気口や配管の隙間から侵入します。床下は暖かく、巣作りに最適です。
  • 通気口・換気扇:換気のための開口部は網やフタが無いと容易に侵入口になります。特に古い家では金属網が外れていることが多いです。
  • 戸袋・雨戸・窓枠の隙間:締まりが悪い窓や雨戸の隙間から小動物が入ることがあります。
  • 天井裏・屋根裏の劣化部分:断熱材が露出している、屋根裏で鳴き声がする場合は早急に調査を。

侵入ポイントを見極める方法

  • 屋根の瓦や軒天にズレ・破損はないか
  • 基礎通気口に隙間・破れた金網はないか
  • 外壁に穴や大きなひび割れはないか
  • 排水口や雨樋に獣の足跡や毛が挟まっていないか
  • 窓や勝手口のゴムパッキンやシールが劣化していないか

チェック時は明るい懐中電灯、鏡(手が入らない隙間を覗くため)、カメラ(記録用)を用意すると効率的です。

【プロ推奨】最も効果の高い対策(侵入口を“塞ぐ”が第一)

プロが最も重視するのは「侵入口を確実に塞ぐ」ことです。これができれば長期的な効果が得られます。以下に具体手順と注意点を示します。

1) 隙間を塞ぐ(最も効果が高い)

使うもの:金網(ステンレス製/亀甲金網)、パンチングメタル、防獣パテ、耐候性シーリング材、鋼板

ポイント

  • ネズミ対策なら目の細かいステンレス金網(1〜2mm目)を使用する。プラスチック系は齧られるため不適。
  • ハクビシンやアライグマなど中〜大型獣には、厚手のパンチングメタルや鋼板で塞ぐ。
  • 配管周りや基礎通気口は防獣パテで隙間を埋め、上から金網を被せ二重にするのが効果的。
  • シーリングは耐候性・防蟻性能のある製品を選ぶと長持ちする。

DIYでできる場所:通気口、窓枠周り、小さな外壁の穴、雨戸の隙間。
業者に頼むべき場所:屋根裏、屋根の瓦のズレ、大規模な外壁補修。

2) 屋根・軒天・床下の劣化補修

劣化は侵入を招くだけでなく、修理を先延ばしにすると費用が跳ね上がります。

やること

  • 軒天の張替え、瓦の差し替え、雨漏り修理。
  • 床下のシロアリや腐朽がある場合は根本的な補修を行う(必要に応じて専門業者へ)。
  • 配管の支持金具や貫通部の防水処理を行い、配管周りの隙間を防獣処理する。

3) 忌避剤(匂い・超音波)の活用 — 補助的対策

忌避剤・超音波機器は補助ツールとして有効ですが、万能ではありません。

注意点

  • 忌避剤は時間と共に蒸発・風化するため定期的な塗布や交換が必要。
  • 超音波は効果の感じ方に個体差があり、障害物に弱いため屋根裏や床下での単独使用は非推奨。
  • プロ用の忌避剤でも“対症療法”が主体であり、根本は侵入口を塞ぐこと。

4) 敷地管理(雑草・ゴミ・食べ物の除去)

害獣は「食べ物」と「隠れ場所」を探しています。敷地内に餌となるものや隠れられるものがあると容易に住み着きます。

やること

  • 落ち葉・雑草を定期的に刈る。
  • ゴミや放置物を撤去する。特に食品の入ったゴミは厳重に管理。
  • ペットフードや餌付け禁止の注意看板を設置。
  • 人の出入りを演出する(定期巡回)ことで「使われている家」と見せる。

5) 定期巡回・見回りサービスの活用

頻繁に訪れることが難しいなら、空き家管理サービスや近隣の管理人に巡回を依頼すると早期発見に繋がります。巡回記録が残ることで保険請求や業者見積もり時に有利になります。

すでに侵入されているサイン

侵入されたら被害拡大を防ぐために早急な対応が必要です。以下は典型的なサインです。

見つけやすいサイン

  • 天井・壁からの異音(夜間に動く音や走り回る音)
  • 糞や尿の痕跡(ネズミの糞は米粒大、ハクビシンは円筒形寄り)
  • 断熱材の乱れや破損(屋根裏や床下)
  • 床下の荒れ(土が掘られたり、巣材がある)
  • 独特の臭い(腐敗・尿臭)
  • 小動物の足跡や毛の付着

注意点(発見時の初動)

  • 決して素手で糞や巣材に触らない(感染症リスク)。手袋・マスクを着用する。
  • 音がするからといって無暗に天井裏に風穴を開けると、内部で動く動物を刺激して被害を拡大させる可能性がある。
  • 侵入箇所を確認する際は双方の安全を考え、懐中電灯・カメラで記録してから対応を決める。

プロの害獣駆除業者を呼ぶべきタイミング

どんなにDIYで頑張っても、次のような状況なら業者に依頼したほうが安全で早いです。

業者に依頼すべきケース

  • 大型の害獣(ハクビシン・アライグマ等)が屋根裏や天井裏にいる疑いがある場合:自分での捕獲は危険。落下や噛まれるリスクあり。
  • フン・汚染が広範囲に及んでいる場合:衛生的に危険で専門的な消毒・清掃が必要。
  • 再発が続いている場合:単なる塞ぎ方では不十分で根本的な再発防止工事が必要。
  • 自分で処理できない大規模な損傷がある場合(屋根補修、外壁補修、床下補修等)。

業者選びのチェックポイント

  • 資格・許認可の有無(自治体の指導を受けている業者、産業廃棄物処理の許可など)。
  • 見積りが詳細か(作業内容・使用材料・再発防止の有無が明記されている)。
  • 保証の有無(作業後の再発時の対応期間と内容)。
  • 口コミ・実績(同業・不動産会社からの紹介実績があるか)。
  • 複数社で相見積りを取ること(価格だけでなく提案内容を比較)。

害獣侵入防止の費用相場

費用は被害規模・施工範囲・地域差によって変わりますが、概算の目安を示します。見積りを取る際の判断材料にしてください。

侵入経路の封鎖(小規模)

  • 5,000円〜20,000円:小さな通気口の網取り付けや防獣パテでの補修。DIY材料費含む。
  • 20,000円〜80,000円:窓周りや勝手口など、手間のかかる箇所の金網・鋼板施工。業者施工での目安。

屋根・軒天の補修

  • 20,000円〜200,000円:軒天の張替え、瓦差替え、部分的な雨漏り補修など。屋根全面の修繕が必要ならさらに高額。

害獣駆除+侵入防止セット

  • 30,000円〜150,000円:駆除(捕獲・駆除薬使用・屋根裏の清掃)と再発防止施工をセットで行う場合。被害範囲が広いと上限はさらに上がることも。

空き家管理サービス(巡回)

  • 月額3,000円〜15,000円:巡回頻度・報告の有無(写真付き)・簡易清掃の有無によって価格差あり。

忌避剤・超音波機器

  • 数千円〜数万円:市販の忌避剤や超音波機器。長期効果は限定的で補助的使用が中心。

ポイント:安価な対策を繰り返すより、侵入口を確実に封鎖して点検を継続する方が長期的には安上がりです。「費用が高い=必ずしも効果が高い」ではないため、施工内容をしっかり確認することが重要です。

プロが教える「絶対にやってはいけないNG行動」

自己流でやると逆効果や危険を招く行為は少なくありません。以下は注意すべきNG行動です。

NGその1:忌避剤だけで解決したと思う

忌避剤は一時的な効果はあるものの、根本的に侵入口を塞がない限り再発します。忌避剤は“補助”に留める。

NGその2:侵入口を確認せずに塞ぐ(中に閉じ込める)

音や動きがするからといって安易に塞ぐと、屋根裏や壁内に動物を閉じ込め、パニックでさらに被害を拡大させる危険があります。必ず専門家の方法で追い出すか、適切な誘導経路を確保してから塞ぐ。

NGその3:フンや巣材を素手で処理する

病原菌や寄生虫のリスクがあるため、必ず防護具(手袋・マスク・ゴーグル)を使用し、必要なら専門の清掃業者へ依頼する。

NGその4:音がする・糞があるのに放置する

初期の段階で対処すれば費用も被害も最小で済みます。放置は補修費や駆除費が膨れ上がる主因です。

NGその5:一度対策して安心して点検を止める

対策後も定期点検を続けることが重要。小さな破損や劣化から再侵入するケースが多く見られます。

空き家の害獣侵入を防ぐための実践チェックリスト

以下は現場でそのまま使えるチェックリストです。月1回程度の点検を推奨します。

月1回チェック(外回り)

  • 屋根にズレ・破損はないか
  • 軒天や軒下に穴や糞はないか
  • 基礎通気口の金網が intact か
  • 排水口・雨樋に獣の痕跡がないか
  • 敷地内にゴミや餌になるものが放置されていないか

月1回チェック(窓・玄関周り)

  • 窓ガラス・サッシのパッキンに劣化はないか
  • 勝手口・物置の鍵は閉まっているか
  • 雨戸・戸袋の隙間はないか

四半期ごと(内部点検)

  • 屋根裏に異音・糞はないか(安全第一でライトとカメラで確認)
  • 床下に巣材や掘られた跡がないか
  • 換気扇や通気口のフィルタ・網は正常か

発見時のメモポイント

  • 発見日時:______
  • 発見箇所:______
  • 写真あり(はい/いいえ)
  • 対応内容:______(例:応急処置、業者手配等)

DIYでできる簡単対策(コストを抑えたい方向け)

プロ対策の前段階として、手軽にできるDIYでの予防措置を紹介します。効果が高い順に並べています。

  1. 基礎通気口に金網を取り付ける(目の細かい金網でネズミを防ぐ)
  2. 勝手口・物置の隙間に防獣パテを詰める(簡易応急処置)
  3. 敷地内の雑草・ゴミの定期除去(餌と隠れ場所を減らす)
  4. 窓のパッキン交換・古いシーリングの打替え
  5. 外周に巡回用の写真記録を残す(人の存在感を演出)

これらは材料費数千円〜数万円程度で実施可能です。ただし屋根裏・屋根の作業や大きな外壁補修は危険を伴うためプロへ依頼してください。

再発防止のための長期プラン(3年計画の例)

再発を防ぎ、資産としての空き家価値を保つには短期対策だけでなく長期計画が必要です。簡単な3年計画の例を示します。

1年目(初期集中対策)

  • 全面点検(屋根・外壁・床下)を業者に依頼。
  • 主要な侵入口の封鎖(プロ施工)。
  • 月1回の巡回体制を確立。

2年目(維持管理)

  • 半年ごとの簡易点検(写真記録)。
  • 必要に応じた小規模補修(軒天・雨樋等)。
  • 敷地の環境改善(植栽の見直し、ゴミ対策)。

3年目(再評価と大規模修繕)

  • 3年目に総合評価を実施。大規模修繕が必要なら予算化。
  • 管理体制の見直し(巡回頻度、業者の入替え検討)。

このように計画的にメンテナンスを行うことで、害獣被害による突発的な高額修繕を防げます。

まとめ:最も効果的なのは「侵入口を塞ぐ+定期点検」

結論として、空き家の害獣対策で最も効果的なのは①侵入口を確実に塞ぐこと②定期的な点検・巡回を継続することです。忌避剤や超音波といった補助ツールは便利ですが、根本的な解決にはなりません。被害を放置すると衛生・構造上の被害が拡大し、結果的に修繕費用が膨らみます。早めの点検と、必要な箇所はプロの力を借りる判断が、総費用を抑える最短ルートです。

よくある質問(Q&A)

忌避剤だけで本当に効果はありますか?

一時的には効果がある場合がありますが、長期的には侵入口の封鎖と環境整備が不可欠です。忌避剤は補助的に使用してください。

屋根裏で動物の音がするが、自分で対応できますか?

屋根裏は狭く暗く、噛みつきや糞による感染リスクがあるため、プロに調査・捕獲を依頼することをおすすめします。

安く済ませたいが、どこを優先すれば良い?

基礎通気口と勝手口、敷地内の餌となるものの除去を優先してください。これらは費用対効果が高いです。


空き家へ害獣の侵入を防ぎたい方へ

「どのように防げばよいのだろう…」「どこを防げばよいのだろう…」など気になる点がございましたら以下のページからお問合せください。

空き家の害獣対策は「やるか・やらないか」で将来の費用が大きく変わります。まずはお気軽にご相談ください。

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