「空き家放置」は意外と身近な問題
「相続したけど、何となくそのままにしてしまっている…」
「空き家を処分するのも手間だし、また今度でいいや…」
もしあなたがそう考えているなら、注意が必要です。
空き家の放置には、思わぬリスクが潜んでいます。
特に2023年に改正された「空家等対策特別措置法」により、行政からの指導が厳格化され、空き家を放置しているだけで固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性すらあります。
さらに、倒壊や火災の危険性がある空き家は「特定空き家」に指定され、命令や過料(罰金)を受けることも…。
この記事では、空き家を放置していることで起こる
- 近隣トラブル
- 税金の増加
- 法的罰則や行政指導
といった現実的なリスクを、具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。
相続や転居などで空き家を所有している方は、ぜひ最後までご覧ください。
空き家放置がもたらす3大リスク
1. 近隣トラブルの発生
空き家を長期間放置すると、まず最初に問題となるのが「近隣住民とのトラブル」です。
■ 雑草や樹木の越境
誰も管理していない空き家の庭では、草木が伸び放題になります。
とくに夏場は成長が早く、敷地を越えて隣家の庭や道路にまではみ出すことも。
- 「雑草が隣の敷地に侵入している」
- 「落ち葉が詰まって雨樋が壊れた」
- 「虫が大量発生して困っている」
このような苦情を近隣住民から受けることは珍しくありません。
■ 害虫や動物の発生
空き家は人の出入りがないため、衛生環境が急速に悪化します。
台所に残された食材、雨漏りによる湿気、風通しの悪さ…。これらがゴキブリ・ネズミ・ハクビシンなどの住処になり、周囲へも被害が広がります。
■ 放火・不法侵入・犯罪の温床
空き家は、外から見て「使われていない」と一目でわかるため、以下のような犯罪リスクが高まります。
- 放火(全国の空き家火災は年間4,000件以上)
- 不法侵入・占拠
- 窃盗や麻薬使用などの犯罪拠点化
空き家に起因する火災が発生すれば、所有者が損害賠償責任を問われるケースもあり、決して他人事ではありません。
■ 実際にあった事例(岐阜県・60代女性)
「父の住んでいた実家を相続したものの、忙しくて管理できず数年放置。近所の方から“異臭がする”と連絡があり、見に行ったら動物の死骸が…。さらに裏庭の木が電線に引っかかり、管理不備で注意を受けました。」
2. 固定資産税が上がるリスク
空き家を放置していると、固定資産税の優遇が打ち切られる可能性があります。
■ 本来、住宅が建っている土地には「軽減措置」がある
通常、住宅が建っている土地(住宅用地)は、固定資産税の課税額が次のように軽減されます。
- 小規模住宅用地(200㎡以下):評価額の1/6
- 一般住宅用地(200㎡超):評価額の1/3
たとえば評価額600万円の土地がある場合、小規模住宅用地であれば課税評価額は100万円となり、大幅に軽減されるのです。
■ しかし「特定空き家」に指定されると軽減措置が解除
2023年の法改正で、特定空き家に該当すると、この軽減措置がなくなります。
結果的に、固定資産税が3〜6倍に跳ね上がることになります。
■ 実際の計算例
項目 | 通常の住宅 | 特定空き家 |
---|---|---|
土地評価額 | 600万円 | 600万円 |
軽減後評価額 | 100万円 | 600万円 |
税率(例) | 1.4% | 1.4% |
年間固定資産税 | 14,000円 | 84,000円 |
たとえ住んでいない家でも、「解体せずに残しておくだけで税金が安くなる」わけではないのです。
3. 行政からの指導・罰則(最大50万円の過料)
■ 「空家等対策特別措置法」とは?
2015年に施行された「空家等対策特別措置法」は、適切に管理されていない空き家に対して、行政が強制的に指導・措置を取るための法律です。
■ 指導〜行政代執行までの流れ
- 指導(助言・指摘)
- 勧告(是正を求める)
- 命令(従わなければ罰則)
- 代執行(行政による強制解体・費用請求)
命令に従わなければ、**50万円以下の過料(罰金)**が科される可能性があります。
■ 実際の代執行事例(愛知県)
木造2階建ての空き家が老朽化し、屋根や壁が崩落。住民から苦情が相次ぎ、行政が命令 → 無視 → 最終的に約230万円の解体費用を所有者に請求。
特に注意が必要な「特定空き家」とは?
■ どんな空き家が「特定空き家」に指定される?
次のような基準を満たすと、特定空き家に指定されます。
- 倒壊の恐れがある
- ゴミや汚物の放置で著しく衛生を損なっている
- 景観を大きく損ねている
- 周囲に危害を及ぼす恐れがある
つまり、単に「人が住んでいない家」ではなく、「周囲に悪影響を及ぼしている空き家」が対象です。
■ 指定されたらどうなる?
- 固定資産税の軽減措置が解除
- 勧告・命令に従わなければ過料や代執行
- 所有者は費用請求を受ける
とくに都市部では、景観条例や防災面から厳格に指定される例が増えています。
空き家放置による費用面の負担
■ 管理していない場合のコストと損失
- 台風による破損:修繕費用数十万円〜
- 配管の劣化や水漏れ:数万円〜
- 防犯対策:センサーや監視カメラ設置で10万〜20万円
- 火災保険:空き家は保険料が高くなる傾向あり
これらは、放置期間が長くなるほど増大します。
■ 解体する場合の費用と補助金
- 木造住宅:40〜180万円
- 鉄筋コンクリート造:200〜300万円以上
多くの自治体では、空き家対策として解体補助金制度を設けています。
例:名古屋市では最大80万円まで補助(要申請・条件あり)
放置せず空き家問題を回避するには?
■ まずは「現状の把握」と「相談」から
- 登記情報を確認して名義を明確に
- 固定資産税の納税通知書で課税状況を把握
- 地元の自治体や専門業者に相談するのが早道
■ 空き家管理サービスを利用する
【例:月額3,000円〜8,000円程度】
- 月1回の巡回・換気・ポスト整理
- 写真報告・異常発見時の通知
- 倒壊・火災・不法侵入の予防になる
■ 活用・売却・解体の選択肢を整理する
- 空き家バンクやリノベーションで再活用
- 専門業者に査定してもらい「売却」判断
- 解体して更地にし、土地活用も検討可能
よくあるQ&A
- 空き家を相続放棄すれば責任はなくなる?
-
相続放棄には“3か月以内”という期限があり、名義変更前でも管理責任が問われることがあります。
- 兄弟で空き家を相続したが誰も管理しない
-
共有名義なら「全員の合意」が必要。放置状態が長引くとトラブルのもとです。
- 売却する予定だけど、それまで放置していい?
-
売れるまでの間にも税金やトラブルが発生する可能性があるため、最低限の管理は必要です。
まとめ|空き家は「放置しない」が最善の対策
- 空き家放置は、近隣トラブル・税金の増加・罰則という3つの大きなリスクを招く
- 特に「特定空き家」に指定されると、行政処分や重い金銭負担が発生
- 早めに相談・管理・活用を検討することで、損を未然に防げる
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