<遺品整理サービス完全ガイド(全5回)>第4回:遺品整理にかかる料金と費用の内訳を徹底解説

目次

はじめに — 「費用」が一番気になる人へ

遺品整理を業者に依頼する際、真っ先に気になるのは「いくらかかるのか?」という点です。費用は業者ごと・地域ごと・物量ごとに大きく変わるため、相場感と内訳を理解しておくことが、トラブル回避と納得の依頼につながります。本記事では「何にいくらかかるのか」「見積書のどの部分をチェックすべきか」「費用を抑える具体策」まで、実践的にまとめます。主要な相場データは業界の最新情報を参照しています。

遺品整理の料金体系:基本料金とオプションの構造

まず料金の全体像をつかみましょう。概ね遺品整理の料金は下記のように構成されます。

  • 基本料金(パッケージ):仕分け・搬出・運搬・一般廃棄物の処分・簡易清掃が含まれることが多い。
  • オプション料金:ハウスクリーニング、特殊清掃、供養、特殊品の処分(ピアノ・金庫等)、遠方搬出、エアコン取り外しなど。これらは別料金扱いのことが多い。
  • 人件費・車両費:作業人数や台数に応じて算出される。繁忙期や即日対応だと高くなる。
  • 廃棄物処分費・リサイクル料:家電リサイクル法対象品(冷蔵庫等)や粗大ゴミの処分費。
  • 買取・相殺:業者が買取を行う場合は、買取額を総額から差し引くことがある(見積もりに明示されるべき)。

上記の構造を理解すると、見積もり書のどの項目が汎用で、どれが追加請求につながるかが見えてきます。

間取り別/荷物量別の費用相場(目安表)

ここでは「業界でよく使われる目安」を示します。実際は荷物量・作業難度(搬出経路)・オプションの有無で上下しますが、見積もりの目安として便利です。

間取り別・費用相場(目安)

間取り目安費用(基本作業)作業人数・時間の目安
1R・1K3万円〜8万円1〜3名・1〜3時間
1DK・1LDK5万円〜15万円2〜4名・2〜6時間
2DK・2LDK12万円〜25万円3〜5名・4〜8時間
3DK・3LDK20万円〜40万円4〜6名・6〜10時間
4LDK以上35万円〜70万円以上5名以上・1~2日

(各レンジは複数の業界データの中央値〜上振れを組み合わせた目安です。)

ポイント:同じ間取りでも「荷物が多い」「ゴミ屋敷状態」「ピアノや金庫など特殊品がある」「階段搬出」などがあると、上記相場を大きく上回ることがあります。

オプション別・費用の目安(具体的にいくらかかるか)

遺品整理で見落としがちな「オプション」の代表的な費用目安を示します。※費用は業者や地域で幅がありますが、相場感として参考にしてください。

オプション費用目安一覧

  • ハウスクリーニング(徹底):2万円〜10万円程度(範囲・汚れ具合で増減)。賃貸退去や売却前は依頼が多い。
  • 特殊清掃(孤独死・事故現場):ケースによるが、1Rで10万〜30万円、場合によっては50万円以上になることもある(消臭・除菌・体液処理・産廃処理等含む)。特殊清掃は使う機材や薬剤、人員数で大きく費用が変動する
  • 遺品供養・お焚き上げ:5,000円〜3万円が目安(合同供養やお寺の手配内容で変動)。業者のパックに含まれることもあるが、明示を確認。
  • ピアノ処分:搬出・運搬だけで5万円〜が一般的(アップライト/グランドで差が大きく、専門業者の見積りが必要)。場合によっては買取対応が可能。
  • 耐火金庫処分:5,000円〜数万円(重量・解体の必要性による)。金庫の中身の扱いも要確認。
  • エアコン取り外し:5,000円〜1万円程度(室外機の有無、追加配線で増額)。
  • 遠方搬出(処分場までの距離):出張距離や高速料金が加算される場合あり。

補足:特殊清掃や孤独死対応は専門性が高いため、通常の遺品整理費用とは別枠で高額になることが多く、見積り時に「特殊清掃が必要か」をきちんと判断してもらいましょう。

見積書の「内訳」で見るべきポイント(項目別に解説)

見積書には複数の費目が並びます。チェックすべき代表的な項目と、そこでの注意点を示します。

人件費(作業員数 × 時間)

  • 何人で何時間作業するかが明示されているか確認。繁忙期や階段作業で増員が必要な場合は事前説明があるか。

車両費(トラック台数・走行距離)

  • 大型のトラックや複数台が必要な場合、車両費が上乗せされる。搬出経路が狭くて小型車で何往復もするケースもある。

廃棄物処分費(可燃・不燃・リサイクル品)

  • 家電リサイクル料や産廃扱いになった品目(業者の処理方法)などが明示されているか。自治体の処分費と業者手配の違いも注意。

オプション費用(特殊清掃・供養など)

  • 何が「オプション」かを明確にし、料金表で単価が示されているかを確認。曖昧だと追加請求が発生しやすい。

買取・相殺

  • 買取がある場合は買取額がどのタイミングで相殺されるか(当日精算か後日振込か)を確認する。査定根拠を聞くのも重要。

諸経費・消費税

  • 見積りに「諸経費」「搬出作業費」「諸手数料」といった曖昧な項目がないかをチェック。内訳を求めると金額の根拠が明確になります。

ワンポイント:見積もりは口頭のみではなく書面化してもらい、オプション項目や追加発生条件を明文化しておくこと。

追加料金が発生しやすい「具体的ケース」とその目安

よく追加料金につながるケースを挙げ、実務的な注意点をまとめます。

ケースA:階段・2階以上からの搬出

  • エレベーター無しの階段搬出は作業時間と人員が増えるため追加料金が発生。階段の段差や角度によっても変動。

ケースB:ゴミ屋敷・大量の不用品(作業量が想定外)

  • ゴミの分別・運搬に時間がかかるため、基本料金を大幅に超える場合がある。事前に写真で現状を伝えておくと精度の高い見積りが出る。

ケースC:特殊清掃が必要な現場

  • 臭気や汚染度合いにより作業手順が増え、機材や薬剤使用料が加算される。場合によっては数十~数百万円に達することもあるため、物件の再利用・売却を検討する際は予算を見積もっておく必要がある。

ケースD:特殊品(ピアノ・耐火金庫・自動車など)

  • 取り扱いが特殊な品は専門搬出・解体費や処分費が別途必要。ピアノは搬出条件で価格が変化するため専門業者の見積りが必要。

ケースE:即日対応・短納期対応

  • 急な手配で人員を増やす場合は、割増料金が発生することがある。余裕を持った日程が費用を抑えるコツ。

費用を抑えるための実践テクニック(節約方法)

実際にできるコストダウン策を具体的に紹介します。

  1. 事前にできる範囲で仕分け・分別をする
    → 業者作業時間が短縮され、見積りが下がる。写真で事前査定を受けると安心。
  2. 買取できる物は査定してもらう
    → 家具・家電・ブランド品・貴金属は買取で相殺可能。複数業者で査定を取るとベター。
  3. 複数業者の相見積りを取る
    → サービス内容の違いや不明点を比較し、最も納得できる業者を選ぶ。
  4. 日程に余裕を持つ
    → 繁忙期や即日対応は割高になる。余裕を持てば人員調整で安くなる場合あり。
  5. 自治体の無料回収やリサイクル制度を活用
    → 自分で一部を自治体処分に回すことで費用を下げられる。ただし業者に全部任せる場合は一般廃棄物許可の扱いに注意。

事例で見る「現実的な見積もり例」:シミュレーション

具体的な想定ケースで合計見積りイメージを示します(あくまで目安)。

事例A:1K(荷物少なめ・買取無し)

  • 基本作業(仕分け・搬出・処分・簡易清掃):5万円
  • オプションなし
    合計目安:5万円(幅:3〜8万円)

事例B:1LDK(荷物やや多め・供養1件あり)

  • 基本作業:12万円
  • 供養:1万円
  • エアコン取り外し:7,000円
    合計目安:13.1万円(幅:8〜20万円)

事例C:3LDK(荷物多め・ピアノあり・一部特殊清掃不要)

  • 基本作業:30万円
  • ピアノ搬出:7万円
  • 大型家具解体:3万円
  • ハウスクリーニング(徹底):8万円
    合計目安:48万円(幅:20〜60万円)

実務メモ:上記はあくまで一例。特にピアノ・特殊清掃・家屋解体などが絡むと見積りは急上昇します。現地での正確な見積りが重要です。

信頼できる業者を選ぶための“費用以外”のチェックリスト

料金は重要ですが、それと同じくらい信頼性の確認も大切です。下記は必ず確認したい項目です。

  1. 書面での見積もり(内訳が明確か) — 口頭のみはNG。
  2. 許可・資格の確認
    • 古物商許可(買取を行う場合)
    • 一般廃棄物収集運搬許可(業者が自社で廃棄を行う場合)※自治体により運用差あり。
  3. 遺品整理士の有無(民間資格) — 有資格者在籍は安心材料だが法的義務ではない。
  4. 過去の施工事例・口コミ — 写真やレビューを確認。
  5. 保険加入(損害賠償保険等) — 搬出中の建物破損や事故時の補償があるか。

注意:一般廃棄物許可の取得状況は自治体で運用が異なるため、許可がない=違法とは限りません(委託や連携で対応している場合もある)。ただし処理方法の説明義務は必須です。

よくあるトラブルと回避策(費用面)

  • 追加請求が発生した → 回避策:事前に写真で現状を共有、作業前に現地で再確認、書面で追加条件を明確化。
  • 貴重品が見つからなかった/処分された → 回避策:仕分け基準を作り、重要品は立会いで確認。貴重品探索の有無を見積りで確認。
  • 不適切な廃棄(不法投棄等) → 回避策:廃棄方法(処分先)を確認、許可や提携先を明示させる。

最後に:見積り依頼時のテンプレ(依頼時に業者へ送る文面例)

見積りの精度を上げ、無駄な追加費用を避けるための依頼テンプレ(コピペ可)

件名:遺品整理の見積り依頼(○○市・1LDK)

本文:
・住所:○○市△△町
・間取り:1LDK(○○㎡)
・荷物量:家具・家電や衣類が多め/少なめ(写真添付)
・特殊品の有無:仏壇(あり)、ピアノ(なし)、金庫(なし)
・希望作業日:○月○日〜○月○日の間
・希望オプション:供養(有)、ハウスクリーニング(無)
・備考:階段搬出(2階、エレベーター無し)
※写真を添付しました。現地見積りの可否と概算金額を教えてください。

このテンプレで現状がある程度伝わるため、写真添付+上記情報で概算のズレが少なくなります。


第4回は遺品整理にかかる料金と費用の内訳についてでした。もっと詳しく知りたいという方は、以下のページからお問合せください。

気になる点などお気軽にお問合せください。

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