相続税対策は“生前整理”から始めよう!後悔しないための5つの手順

生前整理が「相続税対策」になると聞いても、具体的に何をすればいいのかわからない──そんな悩みを抱える方は少なくありません。相続税は金額が大きくなりがちで、申告や納税手続きにも専門知識が必要。だからこそ、早めの準備が重要です。

生前整理は、財産を整理するだけでなく、相続税対策や家族間のトラブルを未然に防ぐための有効な手段です。この記事では、生前整理を通じて相続税対策を成功させるための5つのステップを中心に、知っておくべきポイントを徹底解説します。

目次

相続税対策と生前整理の関係

相続税とは?基礎控除・課税対象の基本

相続税とは、被相続人(亡くなった人)の財産を相続したときに発生する税金です。課税対象となる財産には、預金、不動産、有価証券、貴金属、自動車などが含まれます。相続税には「基礎控除」があり、現在は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が非課税枠として設定されています。

しかし、この非課税枠を超える財産がある場合、超えた部分に対して税率(10%〜55%)がかかります。そのため、生前整理によって財産を把握し、事前に対策を打つことで相続税の負担を軽減できます。まさに生前整理が相続税対策の第一歩なのです。

生前整理がなぜ相続税対策になるのか?

生前整理によって自分の財産を正確に把握できるようになると、どの財産が相続税の対象になるのか、どの程度の税金が発生するのかが見えてきます。また、必要に応じて生前贈与を活用したり、不要な資産を処分したりすることで、相続税の課税対象を減らすことが可能です。

さらに、生前整理を通じて家族と財産の共有をしておけば、相続時の「争族」リスクを減らすことにもつながります。生前整理は、単なる片付けではなく、未来への備えであり、相続税対策の基盤なのです。

節税になるケース・ならないケースの違い

すべての生前整理が節税につながるとは限りません。例えば、名義変更や不動産の売却をしても、その方法によっては課税対象になったり、贈与税が発生したりすることがあります。相続税対策として生前整理を行うには、税制の知識と正しい判断が不可欠です。

生前整理が必要になる“5つのリスク”

財産の全容がわからず申告漏れになる

多くの人が「自分の財産はだいたいわかっている」と思っていますが、実際にリストアップしてみると、意外と多くの資産や契約が見落とされていることがあります。生前整理を怠ると、相続人がそれに気づかず、申告漏れとなり、延滞税や加算税が課されるリスクがあります。

相続税が高額になるタイミングで損をする

財産の評価額が高くなるタイミングで相続が発生すると、想定以上の相続税がかかることがあります。生前整理によって市場価値や評価額の動向を見ながら、早めに生前贈与や売却を検討することで、相続税対策がしやすくなります。

家族間で“財産の分け方”で揉める

相続トラブルの多くは「財産の分け方」にあります。生前整理をして財産の内容と意図を明確にしておくことで、相続人同士の対立を回避できます。相続税対策としても、誰に何をどのように残すかを決めておくことが重要です。

不動産や金融資産の名義が曖昧なまま残る

被相続人の名義のままの不動産や口座があると、相続手続きに時間がかかり、相続税申告の期限に間に合わないリスクがあります。生前整理によって名義を確認し、必要に応じて名義変更を行うことが、スムーズな相続税対策につながります。

不要なモノや借金・未整理の契約が見つかる

借金や未解約のサブスクリプション、使っていない保険なども相続対象になります。生前整理でこれらを整理することで、相続税対策だけでなく、相続人の負担を軽減できます。

相続税対策は“生前整理”から!後悔しない5つの手順

【手順1】財産リストを作る(見える化する)

まずは生前整理の第一歩として、財産リストを作成しましょう。預金口座、証券、不動産、保険、貴金属、車両などすべてをリスト化し、現在の評価額も記載します。これにより、相続税対策としての全体像が見えてきます。

財産の「見える化」は、生前整理の中でも最も重要な作業のひとつです。専用のテンプレートを使って、定期的に更新しましょう。

【手順2】相続税の試算をする

次に、相続税がどの程度かかるかを試算します。基礎控除を考慮したうえで、相続人ごとにどのくらいの税額になるかを把握することが、具体的な相続税対策につながります。税務署のサイトやシミュレーターを活用しても良いですが、不安な場合は税理士に相談しましょう。

【手順3】生前贈与で早めに分散する

年間110万円以内の生前贈与は、贈与税がかからない非課税枠があります。これを活用して、毎年少しずつ財産を相続予定者に渡すことで、相続税の対象となる財産を減らすことができます。

教育資金や住宅資金の一括贈与制度も、一定条件下で非課税となります。ただし、生前贈与には「名義預金」などのトラブルもあるため、証拠をしっかり残しながら進めることが重要です。

【手順4】不要な財産・契約を処分して整理

使っていない口座、価値のない土地、過去の保険などは、この機会に処分しましょう。これも立派な生前整理であり、相続税対策になります。不動産は評価額の見直しや名義変更も検討しましょう。

【手順5】エンディングノートや遺言書を準備する

最後に、エンディングノートや遺言書を通じて、自分の意思を明確に伝えましょう。エンディングノートには財産情報や連絡先、想いなどを記録し、遺言書には法的な内容(相続分配)を記載します。

生前整理の最終段階として、これらの文書を整備することで、相続税対策と家族への配慮が両立します。

実際に相続税対策が成功した「生前整理の事例」

生前贈与で相続税を300万円節税できたケース

70代の男性が、毎年110万円以内の非課税贈与を活用して、10年間で1,100万円を3人の子に分けて贈与。その結果、相続発生時の財産が圧縮され、相続税が約300万円軽減されました。

不動産を共有名義に変更してトラブルを防いだ事例

一軒家を複数の相続人の共有名義にし、遺言書で明確に分配比率を指示。生前整理の段階で名義変更と意向の伝達を済ませたことで、遺族間の争いなく相続が完了。

財産目録を作成してスムーズに手続きできたケース

すべての財産をリストアップしたエンディングノートを残していたため、遺族は迷うことなく申告・納税ができ、延滞税や過少申告加算税も発生せずに完了。

生前整理で相続税対策をするときの注意点

節税だけを目的にしないこと

生前整理の本質は「家族のための準備」です。節税ばかりを優先すると、贈与の誤解や法的トラブルにつながることもあります。

家族と情報を共有しながら進めること

生前整理と相続税対策は一人で完結するものではありません。家族に共有し、意見を聞きながら進めることで、より効果的で安心できる相続が可能になります。

専門家をうまく活用する

税理士、司法書士、生前整理アドバイザーなど、専門家の助けを借りることで、正確かつ効率的な相続税対策が可能です。

財産の開示には慎重さも必要

全てを家族に開示することに抵抗がある場合は、信頼できる第三者や専門家を介して情報管理する方法もあります。

生前整理に役立つサポートサービスと専門家一覧

生前整理アドバイザーとは?

財産整理、家財の片付け、気持ちの整理までサポートする専門家です。中立的立場から助言が受けられます。

相続税に強い税理士の選び方

実績、対応エリア、料金体系を比較し、事前相談できるところを選ぶと安心です。

家財整理・不用品処分に対応する業者の探し方

遺品整理や生前整理を専門とする業者も増えています。口コミや見積りをチェックし、信頼できる業者を選びましょう。

公的支援制度・助成金が使えることも

高齢者向けの生前整理や引越し費用に助成金が出る自治体もあります。各市区町村の窓口で確認してみましょう。

【まとめ】

生前整理は、単なる「片付け」ではなく、家族への愛情と、相続税対策という未来への投資です。財産を見える化し、節税し、家族に負担をかけずに資産を引き継ぐために、今こそ生前整理に取り組むべき時です。

相続税対策は、早く始めるほど効果的。後悔しないためにも、今日からできる生前整理を一歩ずつ進めていきましょう。


生前整理の相続税対策について知りたい方へ

生前整理でどのようなことが相続税の節税対策になるのか、どのようなことを業者や専門家に頼めばよいのかなど気になることは以下のページからお問合せください。

一気に行うことは大変ですので、少しずつ空いている時間をみつけて出来ることから行ってみましょう。私たちもお手伝いいたします。

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