相続した「空き家」、遺品整理は避けて通れない課題
少子高齢化が進む日本では、親が亡くなったあとに「実家を相続したけれど空き家になっている」というケースが増加しています。とりあえずそのままにしているという人も多いかもしれませんが、放置しておくことで思わぬリスクや費用が発生することもあります。
空き家の整理で避けて通れないのが「遺品整理」。しかし実際に始めようとすると、「費用はいくらかかるの?」「業者を使うべき?自分でできる?」「追加料金ってあるの?」など、わからないことだらけではないでしょうか。
この記事では、空き家の遺品整理にかかる費用の相場をわかりやすく公開し、損しないためのポイントや注意点を徹底解説します。この記事を読むことで、後悔しない遺品整理の第一歩を踏み出せるはずです。
1. 空き家の遺品整理、なぜ費用が高くなりがちなのか?
空き家の遺品整理は、「想像以上にお金がかかる」と驚く人が少なくありません。なぜ費用が高くなってしまうのか。その理由を見ていきましょう。
① 荷物の量が多い
実家には何十年にもわたって蓄積された家具・衣類・書類・雑貨・電化製品などが大量にあります。現代の住居とは違い、昔の家は収納も広く、物が多い傾向が強いため、想像以上の作業量になることが多いです。
② 長期間放置による腐敗や汚損
空き家になってからしばらく手を付けていないと、湿気や害虫によって物品が劣化・腐敗してしまいます。とくに食品が残っていた場合は悪臭や虫害の原因にもなり、「特殊清掃」や防虫対策の追加費用が必要になるケースもあります。
③ 遠方からの対応で業者に頼らざるを得ない
実家が離れた場所にある場合、自分で何度も通って整理するのは大きな負担。結果的に業者への依頼が必須となり、まとまった費用が必要になります。
④ 家屋解体とセットになることも
遺品整理のあと、そのまま空き家を解体・売却・更地にするという流れも多いため、整理の段階から慎重に業者を選ぶ必要があります。解体業者との連携がスムーズでないと、思わぬタイムロスや費用増加にもつながります。
2. 空き家の遺品整理にかかる費用相場
それでは実際に、空き家の遺品整理にどれくらいの費用がかかるのか、具体的な相場を間取り別に見ていきましょう。
間取り別の料金目安
以下は、一般的な遺品整理業者による作業費用の目安です。
間取り | 費用相場 | 作業人数 | 作業時間 |
---|---|---|---|
1K | 3万円〜8万円 | 1〜2人 | 約2〜4時間 |
1DK | 5万円〜12万円 | 2人前後 | 約3〜6時間 |
2DK | 10万円〜20万円 | 2〜3人 | 約6〜10時間 |
3LDK | 15万円〜40万円 | 3〜4人 | 約1日〜2日 |
4LDK〜一軒家 | 30万円〜60万円以上 | 4人〜 | 2日以上 |
※物量、立地(階段のみの物件など)、汚れ具合、遺品の分類の手間などによって変動します。
費用に含まれる主なサービス内容
遺品整理費用には以下のような作業が含まれています。
- 遺品の仕分け(可燃・不燃・貴重品など)
- 遺品の搬出・運搬
- 処分・リサイクル・廃棄物処理
- 家具・家電の回収
- 清掃(簡易清掃)
- 必要に応じて合同供養やお焚き上げ
※業者によっては、供養や掃除が別料金の場合もあります。
追加費用が発生しやすいケース
以下のような状況では、基本料金に加えて追加費用が発生しやすくなります。
- エレベーターがない建物の上階からの搬出
- 物量が事前見積もりよりも大幅に多かった
- 特殊清掃(害虫、腐敗物、動物の糞尿など)
- お焚き上げ・供養希望
- リサイクル対象家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機など)
- 仏壇・神棚の処分
業者に依頼する前には、これらのオプション料金が含まれているか、別途加算されるのかを必ず確認しましょう。
3. 実際にかかった費用の事例紹介
ここでは、実際の利用者の体験談をもとに、空き家の遺品整理にかかった費用と内訳を紹介します。
事例① 地方の一軒家(4LDK):費用約35万円
- 地域:岐阜県郊外
- 業者作業内容:仕分け、搬出、家電回収、仏壇のお焚き上げ
- 清掃レベル:簡易清掃のみ
- 所要時間:約2日
- コメント:「一部自分たちで仕分けたおかげでコストが抑えられた」
事例② 都心マンション(2LDK):費用約18万円
- 地域:愛知県名古屋市
- 作業内容:遺品の仕分けと運搬、リサイクル業者の紹介あり
- 買取査定:古銭や骨董品の買取で▲3万円相殺
- コメント:「買取対応してくれたのが助かった。業者の紹介が丁寧だった」
事例③ ゴミ屋敷化した空き家:費用約60万円+特殊清掃費用
- 地域:愛知県郊外
- 状況:10年以上放置、動物の糞尿・カビ・害虫の発生あり
- 清掃内容:特殊清掃、消臭、壁紙剥がし
- コメント:「思った以上に高額だったが、自力では絶対無理だった」
4. 損しないために知っておきたい5つのポイント
① 相見積もりは必須!業者によって10万円以上の差も
1社だけで即決すると、相場より高い金額で契約してしまう可能性があります。少なくとも2〜3社から相見積もりを取り、サービス内容・対応力・金額を比較することが大切です。
② 「買取対応」してくれる業者を選ぶと費用が抑えられる
価値のある遺品(古美術、着物、ブランド品、金券など)は、業者によっては査定・買取してくれるところもあります。これを利用すれば、作業費用の一部を相殺できることも。
③ 「追加費用ゼロ」の保証があるか確認を
契約前に、「作業後に追加請求されないか」「見積もり後に追加費用が発生する可能性はあるか」を明確に確認しましょう。見積書の内訳が詳細であるほど安心です。
④ 地元密着型 or 全国チェーン、特徴を比較する
- 地元業者:柔軟な対応・割安な料金・地域事情に詳しい
- 全国チェーン:研修制度が整っており、一定水準のサービス品質がある
ケースバイケースで選びましょう。
⑤ キャンセル無料・見積もり無料の業者を優先
初回相談や見積もりで料金が発生する業者は避けた方が無難。気軽に相談できる業者を選ぶことが、納得いく業者選びへの第一歩になります。
5. 自力での遺品整理はできる?費用とのバランスで考える
自分でやる場合にかかるコスト
- 軽トラックレンタル:5,000〜10,000円/日
- 処分費用(自治体の粗大ごみ):1,000〜3,000円/品
- 清掃用品・人件費(ヘルプ依頼など)
- 交通費・宿泊費(遠方在住の場合)
総額で10万円前後になることも珍しくありません。
時間・労力・精神的負担も無視できない
遺品整理は「物を捨てる作業」ではなく、「思い出と向き合う時間」でもあります。慣れない人には大きな精神的負担となることもあるため、体力的・精神的に余裕があるかをしっかり見極めましょう。
一部自力+業者利用のハイブリッドが理想的
「思い出の品だけ自分で選別し、搬出と処分は業者に委託する」という方法で、コストと心の整理の両立が可能になります。
6. 遺品整理に使える支援制度・助成金はある?
自治体による助成制度の例
- 一部自治体では「高齢者の遺品整理支援」として補助金を出しているケースがあります。
- 地方自治体では「空き家バンク」に登録すると解体や片付けに補助金が出る場合も。
相続放棄の可能性がある場合の注意
相続放棄を検討している場合、遺品を処分してしまうと「相続の意思あり」とみなされることがあります。まずは家庭裁判所に相談しましょう。
まとめ:空き家の遺品整理は「費用」よりも「信頼」で選ぶ
空き家の遺品整理には、多くの人が予想以上の時間とお金を費やしています。しかし、しっかりと準備し、信頼できる業者を選ぶことで、無駄な出費を防ぎ、精神的な負担も大幅に減らせます。
安さだけで業者を選ぶのではなく、「明朗な見積もり」「親身な対応」「買取や供養の柔軟さ」など、総合的な判断が大切です。
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